髪の毛をバスタオルで拭きながら、居間へ戻ると宗はビールを片手にピッチをいじっていた。



「お待たせ」



冷蔵庫から宗のためのビールと自分のビールを取り出し、床へ腰を降ろした。



「化粧を落としたら、昔のままだな」



そんな宗の言葉に心が揺さぶられる。




「そんな事ないって!!あれから3年以上も経ってるんだから」



「カナは変わらない」



真っ直ぐにこちらを見た宗の瞳に耐え切れず、あたしは宗から視線を逸らしてしまう。


そして、ビールを一気に流し込んだ。



ゴクゴクゴク……


喉を通っていく冷たい感触が、乱れ始めていた心を冷やしてくれる。



「俺は……カナとの約束守れたかな?」



宗も覚えていてくれたんだ。


宗からの一方的なあの約束を忘れずにいるのはあたしだけだと思っていた。



「もちろん。あの頃の宗に会えたみたいで戸惑うな」



「良かった」



そうやって笑う姿も……


制服を着ていればあの頃と間違えてしまいそうだ。