「お邪魔します」


「どーぞ」


あたしは宗を居間に通し、テーブルにビールを置いた。



「お酒じゃないほうがいい?」


「歩きだから、大丈夫」



その言葉に違和感を感じる。


宗が車やバイクに乗っているイメージはあたしにはないから。


宗の記憶は高校生の時のもの。


だから、お酒を飲むのだって変に思えてしまうくらいだ。



「シャワーだけ浴びさせて。すぐだから」


「別に時間はあるし、ゆっくりどうぞ」


「ありがとう」



すぐにシャワーを浴びた。


自分の仕事に後ろめたさを感じているわけじゃない。


ただ、宗と再会するときはあの頃のあたしで居たかったんだ。


そして、あの頃の続きから、宗との関係を修復したかった。


ジャーっと頭からお湯をかぶりながら、話したい事を頭の中で整理していた。


あたしの後悔が今日やっと救われるかもしれない……。