「じゃあ、また明日も来るよ」
浅葱は帰る素振りを見せた。
あたしは今日こそは……と浅葱の手を優しく握る。
「ゆめかちゃん?」
帰る浅葱を引き止めたことなど一度だってない。
そんな態度に浅葱は驚きながら、不敵な笑みを浮かべている。
「ちょっと、お話があって……」
「どうしたんだい?」
嬉しそうにあたしの手を握り返してきた浅葱に言葉を選びながらゆっくりと話し始めた。
失敗は許されない…――
「ゆめかはまだここでは下っ端なんです」
「うん」
「だから、他のお客様につかなきゃいけなくて……」
あたしの言葉に浅葱の表情が変わる。