日が沈む前だと、この辺にも制服を着た若い子達がウロウロとしている。


あたしだって、まだまだ若いうちに入るけど、学生独特のパワーには負ける。


怖いものなど何もないような光り輝くあの姿は、あたしには眩しくてたまらない。


屈託なく笑うあの笑顔が、あたしには腹立たしくてたまらない。


あたしは地面だけを見つめながら足早に仕事場へと向かった。


札束を手にするために働き始めた、この職場は片側3車線の大きな大きな道路沿いにある。


6階建ての、これもまた大きなビルの中に存在する職場。


そして……


このビルの前にある道路はあの道と交わっていた。


あたしが置き去りにした、あの日を思い出させる、あの道と……。


「おはようございます」


店内はボーイ達がバタバタと準備をしている。


人とすれ違う度に挨拶をしながら、更衣室へと向かう。