「……ちょっと海斗? どうして笑うのよ」


あれからすべてを話したものの、途中から海斗はずっと笑いを堪えっぱなしだった。そしてすべて話し終えると、我慢できなくなったように声を上げて笑い出したのだ。

当然こっちは意味が分からないし、ちっとも面白くない。


なにひとつ面白いことなんて言っていないし、むしろ私は笑い話をしていない。悩みの種を打ち明けたというのに、大笑いするってどういうこと!?


考えれば考えるほど怒りで身体がわなわなと震え出す。

それに気づいた海斗は、さすがにまずいと思ったのか、大きく咳払いをした。

「美弥が悪いんだぞ? 人を笑わせるようなことを言うから」

「海斗を笑わせるようなことなんて、一言も言っていないつもりですが?」

間髪入れず言い返す。


「だってお前、南さんが美弥と見合いしたいと思った理由が、トイプードルに似ているからって……アハハッ! それ聞かされて笑わねぇ方がおかしいだろ。天パーに生まれてきたことに感謝だな」


「感謝なんてするわけないでしょ!?」

海斗ってば酷い。人が気にしていることをこうも大笑いするなんて……!