南さん、普通に知り合いだって言っていたし。

普通はそんな人となかなか知り合いになれないし、特別に作ってもらうことなんて出来ないはずなのに。

それだけすごい人なんだよね。

最近、頻繁に会うようになって家に溶け込んで見えてしまっているから、ちょっぴり忘れていた。


また胸の中にあるモヤモヤが増えてしまい、グルグルと色々なことを考えてしまいながらも、どうにか料理を作っていった。


「どう？　ミャー。美味しい？」

「……はい、とっても」

あれからお父さんは私が「ご飯できたよ」と呼びに行くまで、南さんが来ていることに気づかなかった。


普段通り居間に向かったお父さんだけど、そこに南さんがいたものだから、心底驚きしばらく固まってしまっていたほど。


さすがに家を出る雰囲気ではなく、南さんが買ってきてくれたケーキを食べている今も、こうしてちゃんと家に居てくれているわけだけど……。


「水谷さん、どうですか？　お口に合いますか？」

「あっ、はい！　とっても美味しいです!!」

不意に声を掛けられ、慌てた様子で答えたお父さん。