「これだったんだろ」
首元を触ってみる
何かがついている
鏡で見てみると
「え!ネックレス?!」
ピンクゴールドのリボンのネックレス
「え!なんで!どうして!」
いや、理由はそんなねぇけど
小さい声で言いながら
「こないだ街に買い物に行ったら、お前に似合いそうなアクセサリーが売ってたから、
ここんとこ構ってやってなかったし、なんつーか
いい子に我慢してるご褒美?」
なんだそれ
私は犬か
いい子に我慢してるって、
当たり前じゃない、あなたが好きなんだから
最高にうれしい
葵の気持ちが分かる
「でも先生、『これだったんだろ』ってどういう意味?」
「さっきさ、昼休憩の時、友だちの指輪をうらやましがってただろ?
だから、ちょうどいいタイミングだし、今日渡そうかなって思ってな」
「わー!嬉しい!めちゃめちゃ大切にするね!」
先生はほっとした顔でこちらを見ている
「ああ、あと今日は俺夜空いてるけど、お前んちいっても良い?」
「今日は奥さんの日じゃないの?」
「いや、この前の買い物で子供がはしゃぎ過ぎてケガしてさ、実家に帰ってるんだよ」
「ふーん、じゃあ8時くらいに待ってるね!」
「ああ」
そう言って、先生は準備室を出た。
私も時間をおいて出る。
ちゃんと喜べてた?
ちゃんと謙虚な彼女でいられてた?
休日に滅多に外出しない彼が
出かける理由は
娘さんとお出かけ
ダメだなぁ、私。
事実だけに喜んでいれば良いのに
どうしてもネガティブになってしまう
嬉しい反面
これで我慢しろ
と言われているみたいで
左手の薬指には
先約があるんだと
言われているみたいで。
終わりがない片思いだな