「2年生だからさ、最後のクラス替えだよ。
なれるといいね、ハンカチの君と同じクラスに」
「ちょっ……!違う!!!別に彼が本当にそうかなんて……わからないし…………」
段々と小さくなる声に結菜は首を傾げた。
「え、だって馬場くん何でしょ?」
「後ろ姿が何となく似てるってだけ。その人の名前が馬場くんくってだけ。
なんの確証もないの。だから声もかけられない」
ずっと、カバンに眠る彼の青いハンカチ。
何度も取り出してはアイロンをかけた。
シワになってしまわないように、念入りに。
でも、本当に彼なのかはわからない。
ただ廊下ですれ違った時。
思わず振り返ってしまうほど、直感的に彼だと思った。
物静かで多くを話さない彼。
綺麗な顔をしているのに、あまり目立たなくていつかいなくなってしまうのではないかと言うほど、まるで空気みたいな存在だった。