正直つまらなくて、あくびばかりが出始めた。
「つまんな~い」
ポツリと呟く結菜の言葉に頷いて、私はシャーペンを筆箱から出した。
「結菜、これなーんだ」
机に描いた落書きを指さして尋ねる。
結菜はニヤリと笑って、得意気に「猫!」と答えた。
「ぶぶー!犬だよー!」
「相変わらず下手くそー」
私の絵はみんなから下手だと言われる。
犬くらい描けるのに。
そう思いながらまた違う動物を書いていく。
知らない実験。
つまらない話。
化学のDVDが終わる頃には、そのどれもが記憶には残らず、残ったのは机のイラストだけだった。
「たくさん描いたわー」
私の言葉に結菜が頷く。
「どれも酷い画力だけどね」
私が消しゴムで消していると、結菜がカスを手のひらに乗せて捨てに行った。
「ウチらってさ、2年生でしょ?」
「結菜さん、なに言ってるんですか」
バカにしたように返すと、結菜は「違くて!」と返した。