少し重たい扉を開けて、長いテーブルが並ぶ真ん中に座った。
暫くして、バラバラとクラスメイトが入ってくる。
その中の女子生徒が顔を上げて手を振った。
「ひかりー!先行ってたの気付かなかったよ」
「ごめん、結菜(ゆな)。考え事してたー」
結菜は「声かけねよね」と言いながら隣に座る。
彼女は私の友達。
背の小さい可愛らしい子で、ふわふわと柔らかい栗色の髪で、よく体育の時は三つ編みにしている。
終わると解いてしまうのだが。
こんなやり取りは結構茶飯事で、そんなつもりないのに、いつもぼーっと先に行ってしまう。
それでも許してくれる優しい友だちに感謝する。
「何見るんだろうね」
次は科学。
2人で顔を見合わせて首を傾げた。
「なんだろうね」
チャイムが鳴ると、先生が楽しげに「この間テレビでいい実験をしていて、みんなに見せたい!」とセットしだした。
薄暗い視聴覚室で、知らない人たちの実験映像が流れる。