言われてからずっと、ベンチに座って根が生えたように動けなくなっていた。
好きな人が出来たって簡単で、昨日まで彼氏だった人が他人になる。
違う人の好きな人になる。
綺麗な桜も今は悲しい涙に見えて、目が潤む。
大好きだったのに。
なんだよ。
なんだよ。
行き場のない怒りと、悲しみが同時にやってきて、溢れる涙が制服のスカートの上に落ちた。
じわりと広がるその染みにまた涙がこみ上げる。
まだ好きなのに。
でも、悔しくてどうにか見返してやりたくて、涙を思い切り袖で拭いた。
ゴシゴシと拭いては溢れ、拭いては溢れ。
私は片手で拭きながら、もう片方でカバンを開けてハンカチを探した。
なかなか見つからないそれにまでイライラする。
「……赤くなるよ…?」