階段を急いで駆け下りて、廊下を走る。
やっと着いた時には、はぁはぁと肩で息をするほどで体育でもこんなに走らないと少し笑えた。
扉に耳を当てて、授業が終わっていそうなことを確認するが当然わからない。
震える手により緊張を感じて、重い扉を開けた。
ガチャ………
外の明かりが遮断され、暗い空間にゆっくり足を踏み入れる。
もうクラスの人は視聴覚室から出たようで空っぽだった。
私は肩を落として誰もいない視聴覚室にそう言った。
「はぁ、なんだよなんだよ」
やるせない思いに嘆く。
せっかくした決心さえ鈍らせる。
人生って残酷。
そこまで思いながら、歩くとさっきまで自分が座っていた席に残された落書きに気づいて、頬を染めた。
「やっば!」
急いで消そうとすると、そこに書いてあった矢印に気付いて更に染めた。
「←犬」