本当は駆け寄って行きたかった…
でも結局、波留人の顔を見るのが辛くて。振り返ることも出来ずに。
漸く安達くんの手から解放されて、振り返ったら…
もう波留人は見あたらなかった。
「緋萌と飯田くんて付き合ってるの?」
リボンで私の足と自分の足を結んでいた安達くんが聞いてきた。
「あ、ぅうん。ち 違うよ?」
立ち上がった安達くんが嬉しそうな顔をする。
「本当に?なら良かった」
…ん?
良かった?
「僕ね、緋萌が立候補したから二人三脚やることにしたんだよ?」
安達くんがわらってるけど真剣な目をした。
「好きな子と二人になれるチャンスだからね」
な、何言ってるの?
「いつも飯田くんが一緒だから近づけないし」
う~…なんか顔近いし~
「あ、ハハハハぁ。またそんな事言ってっ。練習、練習…」
なんとか誤魔化さないと~
安達くんが肩を組んできた。
「緋萌は彼が好きなの?」
耳元で安達くんが囁く。
波留人―