「悪いけど……」



急に、グイッ。と安達くんに手を取られた私はよろめいた。


「今日は僕が緋萌ちゃん借りる約束になってるから!」



よろめいた私を支えるように反対の手を波留人が掴んだ。


「練習なら俺が緋萌ちゃんとやるから」



波留人に手を引かれた。


「二人三脚に出るのは僕達なんだから飯田くんには関係ないよ」



安達くんも負けずに引っ張り合う。



「練習なら誰とやってもいいだろ?」

腕が痛い…


「息を合わせないと出来ないんだよ!」

もう嫌。

「緋萌は…」

「…痛いっ」



私の声に反応した波留人が手を放した。
私は反動で安達くんの腕に収まる。






「ありがとう。飯田‘くん’緋萌‘ちゃん’は借りるからね」




波留人が胸が痛くなるくらい切ない顔をして私を見る。

消えちゃうんじゃないかってくらい儚くて…
「波…」

「行こ!」



安達くんに手を引かれ歩く。


波留人にあんな顔をさせるくらいなら二人三脚出なければよかった…


ごめんね。―