「ね?波留?本当に大丈夫だよ?」
ちょっとだけ優しく言ってみた。
「俺が大丈夫じゃないの!」
…え?
どういうこと?
「波…」
「緋萌ー!」
校庭で安達くんが手を振りながら叫んでいる。
それを見た波留人がなぜか手を握る力を強めた。
「…あれ?波留人も一緒?」
当然、安達くんが不思議な顔をした。
「あ。ごめ…」
「…呼び捨てにすんな!」
私の言葉を遮って波留人が安達くんに詰め寄る。
「ちょっ!波留!な、何言ってんの?」
慌てて私は波留人と安達くんの間に割って入った。
「ハッ。悪い、悪い。飯田くん。…て呼べばいいの?」
安達くんが苦笑いをする。
「緋萌‘ちゃん’。だ!」
私を押し退けて波留人がまだ安達くんに噛みつく。
本当にどうしたんだろう。
こんなに激しい波留人見たことない―