高二から付き合ってきた晄慧に
別れてほしいと言われたのは
三学期の初めだった。

好きな人ができたから
別れてほしい。

頭では理解しても心がついてこない。

そうして、春休みギリギリまで
別れたくないと言い張る私に
晄慧が好きな人に
会わせてくれると言い出した。

場所は晄慧の部屋。

そこにいたのは女顔負けの
可愛らし“男の子”だった。

身長はありそうなのに華奢で
抱き締めたら折れてしまいそうな感じ。

晄慧はその子の袖を捲り
腕にキスをした。

私も女だから、
そこにキスをする意味くらい知っていた。

その行動で晄慧がその子を
愛しているのがわかった。

最初は吃驚したし、何でと思った。

だけど、人の気持ちは誰にも止められない。

晄慧が好きになったのが
“男の子”だったとしても。

さよならは寂しいけど
晄慧が幸せならいい。

だから、玄関を出る時に言った。

“絶対にその子を離しちゃ駄目よ”と。

後、“学校では普通に話してね”と。

晄慧から返ってきた言葉にホッとした。

大丈夫、恋人ではなくなってしまったけど
きっと友達には戻れるから。