ぞっとするような殺気が
肌を突く。
おぞましい、人成らざる悪魔どもの
吐き溜めに、僕は立つ。

さて、何が出てくるか―

僅かに残った勇気を
必死に奮い、足の震えを
抑止しようとする。

と。

突如視界が晴れ、
大きな聖堂が、姿を現した。
中からは、何か…音が聴こえてくる。
オルガンの音のようだ。

音と音とが独立し、
時折、若干それらが崩れる。
そこには不自然さまで感じさせた。
音は次第にすれ違うようになり、
そして、一つになる。

何と哀しい響きなのだろう。
いったいどんな人生を送れば
こんな音が出せるのだろう?
僕の足は、自然と聖堂の門まで
向かっていた。