次の日の学校もろくにやる気も出ず、授業もほとんど聞いていられなかった。



「光鈴お嬢様、お疲れ様でした」




運転手兼執事の村木がいつものように高級車で私を迎えに来た。




「お帰りになりましたら何か召し上がりますか?」




「いらない」




「承知いたしました」




決まって村木は間食に何か食べるかと聞いてくるが、別にそんなにいらないし。




だいたい太るじゃん、と思いつつもめんどくさいので黙っていた。




家に帰ってからは大抵は勉強するが、今日はそんな気にはなれない。




父も母も今は仕事中で家にはいない。




1人で外を行動することを制限する親がいない絶好の機会。




「村木ー、ちょっと私出かけてくるから」




お財布とかスマホとかをカバンに入れて出かけようとする私を村木はあわてて追いかけてきた。




「すぐにお車をお出しいたします」




「歩いていくから車はいらない。
それに1人で行くから留守番よろしく」




えっ、という村木を無視してスタスタと家を出た。