微妙な沈黙が数秒間続いたあと、桐崎くんは口を開いた。 「やっぱりお前、桜坂だよな?」 「え、なんで知ってるの!?」 家がバレると思って名字は伏せて名前だけ言ったのに。 ついうっかりと政略結婚とか言っちゃうから? 金持ちの家にしかないようなことだから? えっ、となんかごにょごにょと言う桐崎くん。 「ま、いいよ、気にしなくて」 気になるし。気にしなくていいよじゃないから。 「とりあえず、 嫌なら俺のとこにいれば?」