―塾の帰り道…


二つ目の曲がり角。


白いガードレールに腰を掛けながら、タバコをふかすカズキの姿が。




「カズキ~♪」

私は嬉しくて駆け寄る。




「ヨォ~。やっと終わったか。帰るか?」

「うん♪」





そう、これがいつもの光景。



何も話す事はない。


それでも私は、この時間がとても好きだ。




私は、今日の家の出来事を、


カズキに話そうか…悩んでいた。


こんな事話してもどうにもならないしな…
心配かけちゃうかな?



「うわ…っ!!」



そう言った時は、すでに遅くて


私は、ちいさな出っ張りに、つまずきこけてしまう。



「チビ!大丈夫か?」

「うん…よろけただけだし。大丈夫♪」

「しゃーねぇ~な。」




カズキはそう言って私に手を差し延べる。


「え?」
「いいから!ほら!」


照れくさそうなカズキ。


「ありがとう。」

私は、そっとカズキの手を掴んだ。

「あったかい。」


見上げたカズキの横顔に私は、ドキドキが隠せなかった。