教室で先生最後に先生から挨拶をが終わると、私は校長室に呼びだされた。
フミとユキに先に別れを告げると、その足で向かう。
校長室には、私の両親も呼び出されていて、見馴れないおばさんが白いハンカチを握り締めて目頭を抑えていた。
促されるままに、私の両親の横に座った。
ただ私は、ぼんやりと大人達の会話を聞いていた。
怖い目に合わせて申し訳なかったと言う事と、
娘佳子に寛大な処置でお願いしたいとの、佳子の母からのお願いだった。
私は…
私は…
「確かに嫌がらせなど沢山、嫌な思いはしました。
でも、今はそれから随分強くなれた気がします。
怖い思いしたのも確かだけど、怪我もなかったし、私からは何も意見はありません。」
そう言って私はみなさんに一礼をして校長室を抜け出した。
その後、どんな話し合いになってるかだなんてまったく知らない。
校長室から出ると、さっきまでの華やかさが消えていて、残っている生徒もまばらだった。
「よし!帰ろう!」
まだ雪解け浅い道を私は、一人足元を取られないように歩きはじめた。
ザクザクと音を鳴らしながら校門を出ようとした所…
私の名前を呼ぶ愛しい声に気がつく。
「卒業おめでとう!」
両手いっぱいの、ピンクのスウィートピーとかすみ草の花束を手渡された。
「ありがとう。
カズキだっておめでとうでしょう?」
「だなぁ」
涙でにじんだカズキの、綺麗な顔が揺れていた。
「待ってくれたの?」
「駄目だった?」
大急ぎで左右に首をぶんぶん振ってみせる。
フフッとカズキは口元で笑って見せると、不意に私を抱き寄せる。
「あっ…花束…」
「よかった…舞…お前が居なくなるかとあの時、マジで思ったよ」
そう言ったカズキは、全身に力を込めて微かに、体を震わせていたようにも感じた。
「大丈夫。何処にも行かないよ。
だから、カズキも行かないでね?」
「わかった。行かないよ。」
二人を静かに見守る様に
足元の華が小さく風に揺れていた。
やがて
ゆっくり…
ゆっくり…と
私達二人は手を繋ぎ
いつもの様に
何も話さずに
ただただ
遠回りしながら
春薫、雪道を歩きはじめた。
この続きは
カズキ-10年愛後編へと 続きます。
作品の中で
「廃墟の町」の章の中に
カズキが車を盗むシーンがあります。
あれはカズキ(私の兄)
があの時の生活から逃れたくて
お金のない、中学生がやもえず
選んだ脱出方でした。
無免許の未成年者が車を盗み、運転をする事により、後に
カズキはきちんと、法的罰を受けています。
性的描写も
作品の流れにはとても大切なシーンです。
ご理解願います。
※未成年者の喫煙、飲酒は法律で禁止されています。
まだまだ舞とカズキの恋はづつきます。応援よろしくお願いします