「舞?」

「なぁに?」


カズキの手を繋いだまま、下を向きながら返事をした。



「家に少し寄ってくか?きたねぇけど・・」

「…えッ??」


カズキは軽く咳ばらいをした。



「無理にとは言わないけどな。」


そう言うカズキは、少し緊張をしてる様子だった。



「うん…いいよ。」

人生初めて私は、彼氏の家に入る事になった。

「お邪魔します」

小さな玄関に靴を揃えて、足早に茶の間を抜けて、カズキの部屋に入った。

部屋には、ベットとオーディオ機器とテーブルと、ふかふかのムートンの絨毯があり、部屋の中に、カズキの匂いがいっぱいだった。

男の部屋って案外綺麗なんだ…

キョロキョロと落ち着かない様子でカズキの部屋を見ていた。

カズキは、ガチャガチャとCDを選んでいる。


ふと…本棚に目をやると、そこには、調理に関する本が沢山あった。



「カズキ…?
調理師になりたいの?」

「…うん。でも、学校とかは、頭悪いから無理だとは思うんだ。
だから住み込みとか…で出来たらなんて、思ってるんだけどな。
まともに、考え出したのが、最近だからさ。
結構厳しいかもな…」



カズキはCDの曲を流し、ゆっくりとベットを背もたれにしながら、私の隣に座った。

なんか…



心臓が…




破裂しそうだよ…