「目が痛いって…いつから?」

「ん…殴られた後ぐらいからかな…」

「はぁッ?殴られたって…いつ??」

「最近…?」

心配かけたくないのか、なんなのか…

カズキは、おどけた様子で話している。


「最近じゃ、わからないでしょう??
病院行きなよ!」

「ん…」


なんとも気のない返事。



「今から行きなよ!」

「今からかぁ…。
母さんいるのかな?」

あっ…そうだった。

カズキの母さんは、留守がちなのだった。

空を見上げながら、潰れた鞄を右手で、ブラブラ
振り回しながらカズキは、何かを考えていた。

「私…家まで着いて行くよ?」

「ん…それはいいんだけどなぁ。」

「お母さん居たら、私帰るし。そしたら、病院行けるでしょう?」

「まぁ…ね。
俺の家生活保護受けてるから、病院代は、大丈夫だからな。」

などと言ってる内にカズキの家の前に着いたらしい。

初めて見るカズキの家は、2階だてのアパートで、お世話にも立派だとは家ない古びた建物だった。

「俺の家きたねぇから。
ここで待ってろな?」

そう言って、茶色く、鍵のかかっていないドアを開け、カズキは無言で入っていった。