やがて…ゆっくりと私達は、手を繋いで歩きだす。


話したい事が沢山あったはずなのに、胸がいっぱいで言葉が思いつかないよ。


「舞?」

「うん?」


右肩越しからなんども、そこに居るのを確認するかのように、見上げては、また長く延びた二つの影を見つめいた。


「シュンさんから…聞いたから…。」



その言葉に、私の心臓にナイフが突き刺さる。


私は、思わず繋いだ手を離そうとした。

が!

カズキは、なおもキツク握りしめてきた。


お願い!その話は言わないで!

聞きたくない。




「佳子の仕業なのも聞いたから。
それに…」



カズキは一瞬押し黙ってしまった。

伏せられた長いまつげを、再び見開き



「やったやつ、秋山さんなんだ。シュンさんの友達」

「えっ?!」

「佳子に振り向いて欲しくて、お前を…犯したらしいよ。」



その瞳からは、怒りと悲しみが交ざった感情が溢れだしている。



「俺は…無力だけど、シュンさんの友達だから、手を出すのは、申し訳ないと思ったけど…
アイツら、秋山ともう一人は俺の手でやっといたんだ。」

「そんな!」


驚いて思わず、足を止めた。


「そんな事したら、またカズキ居なくなっちゃうじゃない!」


「お前の為ならかまわないさ。
でも、秋山達は、絶対そんな事しないよ。
ていうかさ、出来る立場じゃねぇし。
どうしても、どうしても許せなくて…。
マジで許せねぇんだ!」





唇を悔しそうに噛み締めていたカズキの姿…

今でも忘れないよ。


カズキ…ありがとう