「舞?とにかく帰ろう?
こんな所で泣いてちゃ駄目!ねっ?」


「…うん。」


ユキが後ろから支えるように、私の背中を抱く。



恐い…恐い…

また佳子がくる…

また、あいつらもやって

来るんだ…。


嫌だ…!嫌だ!










ふと気が付くと、いつの間にかユキとも別れていて、塾の帰り道、いつもカズキが腰かけていた、ペンキのはげかかっている、白いガードレールの前に立ち尽くしていた。




「いつの間に…来ちゃったんだろ…」





無意識とは言え、カズキを求めている自分の気持ちに気が付き再び、涙が溢れてきた。





カズキに逢いたい…

でも…でも…


佳子が…恐い…





こんなに…好きなのに


諦めなきゃいけないの?





激しく行き交う車を私は、ただ、だだ、見つめていた。




いっそこの中に飛びこんでしまったら、楽になるかな?




どうせ、私は汚れてるし。






そっと、ガードレールに右足を乗せた。