松岡の告白を受けてから、一週間程がすぎた。

始業式から遅れること、4日目に私の瞼の腫れも引いて眼帯も外せる様になった頃、ようやく私は、学校に登校する事に。


久しぶりに登校する学校は、すっかり受験に向けてピリピリムードが、漂いはじめていた。


私はと言うと、高校の進学校も決めかねていて、おまけに恋にも宙ぶらりん…。


本当、どうしようもない、気持ちの苛立ちや悲しみに時折押し潰されそうになっていた。

必死で空気を求めて、水面に上がる金魚といった所だろうか…



「舞…大丈夫?少し痩せた?」



心配をしてユキが私の顔をのぞいていた。



「あ…うん…。大丈夫。
ユキは…もう平気なの?
色んな事ありすぎて、ユキの話し聞けなかったけど。」

「私?」


そう言うとユキは、私の隣に椅子を引き寄せた。



「私は、運よくあの後助けられたから…。
でも、舞は…。間に合わなくて…ごめんなさい。」



ユキは深々と私に頭を下げている。


どうしてユキを責められるの?

あんなにも必死に私の為に走ってくれたユキ。



「ユキ…頭あげて?
ユキに謝られる事はないよ。それに、ユキが無事だった。
それだけでも私…
凄い嬉しいよ。
あの事は、今でも許せないけど…。ユキを、先に走らせた事は本当に、後悔なんかしてないよ。
だから、謝らないで?」



そっとユキの細くしなやかな手に両手を添える。


その手は、強くキツクにぎり拳を作っていた。



「舞…本当。私…悔しいよ。謝っても、謝り切れないし。
もう少し、足が…早ければ。
もう少し、行くのが早ければって…そればかり…いつも考えていて。」


しまいまで言わない うちに私は、ユキを抱き寄せた。

ただ、うん、うん、と頷き私達は、声を押し殺し、涙を流していた。



「ユキ…ありがとう。
ありがとうね。」