「松岡…さん?」

松岡は更に語り続る。

その瞳は熱っぽい。


「あいつは、舞のそばにいつもいないじゃないか?」

「……」

「悲しい時、辛い時傍にいないじゃないか?
俺なら…俺なら悲しませる事は絶対させない!
だから…安心して…
俺の所に来ないか?」



それと同時に、力強く引き寄せられる。

痛い程私は、抱きしめられていた。

松岡の顔がやがてゆっくり近づき、唇を塞いできた。




「……」

「ごめん。手が早過ぎたな。」



そう言いながら私から体を、ゆっくりと引き離していった。

右胸のポケットからタバコを取り出し、火をつける。

運転席の窓を全開に下げ、松岡は口から細く白い煙りをはきだしていた。

その途端、車内にタバコの匂いが立ち込める。





「Kissしてから言うのは、おかしいけど考えてくれないか?
ゆっくりでいいから。」




私は小さく頷いた。



もう…どうでもいいよ…