私達を乗せた車は、海岸沿いを走り続けていた。

時折潮の香が私の胸を締め付けてきて、大きくうずく。


まだ私には、あの出来事を忘れさせるには、時間が必要なんだと思いしらされていた。


私は、松岡の引き締まった大人の横顔を見つめていた。

私の視線に気が付いたのか、ニコッと笑いかけてくる。


私は…松岡の事が好きになってしまったのだろうか?




そんな時だった。

松岡が不意に口を開いた。