カズキ、10年愛〜不良のあなたに恋をして〜前編

俺は爆発寸前だった。







あの女を今すぐに

この手で殺したい!!










長い冬休みを終わると、俺らは、あの女の家から学校に通う事になった。



俺は、あいつの世話にはなりたくない。



あの女の元で暮らすぐらいなら、俺一人でも施設に入っても良いと、考えていた。






2月の始めの頃に、学校の職員室に来るように、放送が掛かる。







俺に親戚と名乗る人から電話が来てると言う…



ばあちゃんかな…?



「はい。カズキです。」



「もしもし?カズキ?


母さんですよ 」








紛れも無い。







俺の母さんからの

電話だった







本当は電話が来た事に凄い嬉しかったんだ。



今すぐにでも、助けて欲しかった。



会って抱きしめて欲しかったんだ。




でも、俺のでできた言葉は

「今さら、なんの用事だよ。このくそババァ!」
だった…




母さんは電話の向こうで、何度も俺に詫びを入れている。











母さんから電話が来て一週間たった。




あいつは3食飯を与えて、風呂にも入れてくれて暖かい寝床をくれた。


しかし











心は


そこには


ない…



学校帰り…校門前に











母さんの姿が



そこにあった…





母さんは一緒に暮らしたいから今すぐにそこの家から出なさいと…
俺に言ってきた。




反省をしてると言うのだ。






子供というのは、やはり裏切られても、何度捨てられても一緒に居たいと思ってしまう…

もう一度だけ…










信じてみたい











俺は急いで家に戻る。




すると、弟と妹だけが居たのだ。





「母さんと暮らすから今すぐ出るぞ」



俺らは荷物も持たず母さんの元へ行った。













その日の夜は家族4人でこたつの中で眠りについた。


久しぶりに穏やかな…



暖かい空気に包まれて眠りに着いた。




3学期が終わると


またカズキは
 
転校をしてしまった…








そう、私達は3ヶ月足らずでまた離れる事になってしまった。





カズキといっぱい側に居たかったのに…


カズキの


「 また会いにくるよ」


を私は信じてる。










毎日電話して欲しいの


毎日メールして欲しいの

あなたの声が聞きたいの







お願い…



不安だから…











カズキ…










逢いたい…





逢いたい…





その町は炭鉱の町だった。






俺と母さんと知らない男とまた

暮らす事になった。






半年程前から母さんは、自分より5つ下の自衛隊の男に夢中になっていた。




そいつはいつも、ニヤケタツラをしている






だから嫌い。


理由なんて無い。


嫌いなものは嫌い。










こんな奴の何処がいいのか、まったく理解できなかった。







弟と妹は婆ちゃんの家に預けられている。






何故俺と、あの馬鹿男と一緒だと言うと…






俺が1番あの男と馴染めそうにないと判断されたのと....







あの街に居たとしても、悪い事ばかりするからとの事で先に連れて来られた。


俺はもう、中学3年生なんだ。


進学の事もあるから、もう転校は嫌だと言ったけど虚しく


却下された…








本当は進学なんてどうでよかったんだ。




ただチビが…






舞が…






「一緒の高校行けなくても、ちゃんと入ってね」






約束したから…







なのに・・









また転校かよ・・・










チクショッ!!!









ほどなくして、弟と妹もこの小さな町に来た。


家にいるあの男は、最初真面目に炭鉱の仕事をしていたようだった。






しかし、炭鉱の仕事はきつく辛い仕事のようで、1ヶ月もしない内にあいつは、仕事に行かなくなっていく。




また、こいつもなのか…?





母さんは本当、男運がないんだと思う。







暮らし始めて、2ヶ月目。

とうとう、仕事はしなくなり、

母さんが家を支えるようになっていった。







昼間っから酒を煽り、酔うと、怒鳴り散らし、母さんに暴力を振るっている。






もう、酒は買わないと


母さんが拒むと決まって、



あいつは奥の部屋に、母さんを押し込み、母さんを殴りつけていた。





たまらず、母さんが別れ話しを持ち込むと、あいつは泣いてあやまり、







それを許す母…











悪循環だった。











もう...





こんな所には居たくない...