「今からどこ行くの?」


「それは内緒
楽しみにしてて!きっと喜ぶから」


「うん!そうだね」


赤信号で止まった瞬間、私はすぐ悠真に話しかけたけど、悠真はまた内緒と言って運転に集中する。


春休み中だからか、お出掛けをしている学生がいつもより多い。
"お花見しよう?"なんて今から言えないし、それに私こんな格好だし、何だか恥ずかしい。


それから数十分後、どこか見覚えのある場所に着いた。


ここってもしかして、恋叶広場!?

今駐車場にいるから確信はないけど、やっぱり悠真がクリスマスイベントで歌ってくれた広場だよね?


「着いたー!」


車から降りた悠真は気持ち良さそうに背伸びをしている。

私も車から降りて、悠真と同じように大きく背伸びをした。


空気がすごく美味しい。
春だから緑が多くて、まるで草原にいるみたい。


「悠真、ここって恋叶広場だよね?」


「よく分かったな!そうだよ
実は今日、他にも約束してる人がいるんだ」


「え!誰?私の知ってる人?」


「うん!もちろん」


駐車場から少し歩くと、クリスマスイベントが行われた会場が見えてきた。

その周りには、桜並木が顔を覗かせる。


「あ!いたいた」


「んっ?」


悠真が指差した先を見ると、そこにはゆずき、明日香、リュウ、藤木くんの姿があった。


皆の所に駆け寄ると、悠真も嬉しそうに笑顔を溢しながら、ゆっくりと歩いてくる。