「若こそ、やぁっと話す気になったわけ?」

「…」

今度は信洋さんが季龍さんを黙らせちゃった。

季龍さんと視線が重なる。その目はまだ迷いを持っているように揺らいでいた。

「はい、若はここちゃんにだーいじな話があるから俺らは部屋出るぞー」

「え?でも信洋さん…」

「いいからいいから。ほら暁もここちゃん若に託して出るぞー」

季龍さんの迷いにもお構い無く、信洋さんは部屋にいた梨々香ちゃんや、奏多さん、暁くんたち、みんなを追い出しにかかる。

もちろん戸惑う奏多さんや暁くんも言い伏せて、あれよあれよという間にいつの間にか季龍さんに抱っこされていて、信洋さんの意味ありげな笑みが残る。

「ごゆっくり~」

そんな無責任な言葉と共に襖がピシャリと閉まり、季龍さんと2人きりで残される。

季龍さんを見上げるとまだ迷った顔をしていて、決意が固まっていないことははっきり分かる。