◇◇◇ ◇◇◇
あれ以来、叔父は店を休み塞ぎ込んでいる。
もう二日も姿を見ていない。
母は、「もう、また守の気紛れが始まった!」と表面上は怒っているが、トヨ子ちゃんの件なのは百も承知みたいだ。内心、物凄く心配している。
「トヨ子ちゃん、結婚するの?」
美山が心配そうに訊ねる。叔父の恋心を知っているからだ。切ない胸の内は我が身に通じるところがあるらしく、よく叔父を励ましていた。
「好きとか愛とか、何か面倒臭いな」
笹口がラムネアイスに齧り付く。
その横顔を切なそうに美山が見つめる。
思わず笹口の頭を張り倒しそうになる。
この鈍感ヤロー!
「なぁ、笹口って今まで好きな奴いなかったのか?」
「いない!」
即答だ。
「愛だの恋だのより、武道で精神と身体を鍛える方が性に合っている」
笹口は自分が養子だということを知っている。そして、なぜそうなったかも。
だからだろうか、『愛』というものを敬遠しているところがある。
あれ以来、叔父は店を休み塞ぎ込んでいる。
もう二日も姿を見ていない。
母は、「もう、また守の気紛れが始まった!」と表面上は怒っているが、トヨ子ちゃんの件なのは百も承知みたいだ。内心、物凄く心配している。
「トヨ子ちゃん、結婚するの?」
美山が心配そうに訊ねる。叔父の恋心を知っているからだ。切ない胸の内は我が身に通じるところがあるらしく、よく叔父を励ましていた。
「好きとか愛とか、何か面倒臭いな」
笹口がラムネアイスに齧り付く。
その横顔を切なそうに美山が見つめる。
思わず笹口の頭を張り倒しそうになる。
この鈍感ヤロー!
「なぁ、笹口って今まで好きな奴いなかったのか?」
「いない!」
即答だ。
「愛だの恋だのより、武道で精神と身体を鍛える方が性に合っている」
笹口は自分が養子だということを知っている。そして、なぜそうなったかも。
だからだろうか、『愛』というものを敬遠しているところがある。