ドキドキと高鳴る胸。
ぎゅっと制服のシャツを掴んだ。

落ち着け、落ち着け。
こんなのいつものことじゃん。



「ゆーうっ!」



そんなことを考えていたのも束の間。

いつの間にやら椎花のお説教が終わっていたのか、後ろからケイが抱きついてきた。



「ちょっ慧斗!あんたは言ったそばから!」



また椎花の怒声が聞こえる。

けれどそんな言葉にケイは聞く耳持たず。



「ユウ、すき」



ドキッ



耳元で、至近距離でそんなことを言われてときめかないわけがなくて。

けれど同時にツキンと胸が痛い。



「わたしも好きだよ、けい...」



だって君とわたしの〝好き〟は意味が違うでしょ?