そんなある日の放課後。

「あ、あの…」

自分から勇気を振り絞って声をかけてみた。
案の定、彼は驚いた表情を浮かべ、一緒に帰る予定だったらしい女子たちを先に帰らせた。

「どうしたの?栞ちゃんから声かけられるって思ってなかったからびっくりしちゃった」

「いや…その…なんていうか…」

「ん?」

「何でこんな私に声かけてくれるの?」

思い切って聞いてみた。

「え、気に入ってるから」

「へっ!?」

思わぬ答えに驚きつい変な声が出てしまった。

「だって、私周りから変な奴だって思われてるんだよ?私なんかに構ってたらいつかあなたも私と同じような扱いされちゃう…」

「俺を気にかけてくれるんだ。ありがとう」

そう言うと彼は私の頭を撫でた。
異性に頭を撫でられるなんて一度もなかったから咄嗟に身体を引いてしまった。

「ははっ、何かおもしろいな」

「ど、どこが…」

「反応とかさ」

そう言ってニコっと微笑む転校生。

「じゃ、答えは分かったろ?俺、帰るね。あ、なんなら一緒に帰る?」

「い、いい…私一人で帰れる…」

素っ気ない態度で私は教室を出た。