隣のレストランから注文が取れるらしい。


平たく言えば出前だ。
こんな豪華な出前は見たことがない。


「一応料理も出来ますが、今日は緊急だったので。外で食べるにもふらふらでしたしね」


恥ずかしい。


大の大人が空腹で行き倒れるなんて。しかも平成の時代に。


お肉をメインにあまり普段見ない野菜のサラダなど、ご馳走がテーブルを埋め尽くす。


というか。
この人は何者なのか。


ああもういい。
ご馳走してもらうのも気が引ける。けれど代金なんかはあとで考えよう。


「いただきますっ!!」


言い終わる前にお箸を掴み、ばくばくと豪快に頬張ってしまった。


ああやっぱり、こういうところで育ちの悪さが出るんだな、などとほんの少し片隅に思った。


もう竹下くんの顔さえも見る余裕はなかった。


ああなんて、はしたない。