ふう、と諦めたようにため息をつく工藤さん。
「わかりましたよ。ここは引き下がっておきましょう。でも」
ふっ、と私に視線を移すと、
「僕はライバルがいる方が燃えるタイプなもので」
らいばる!?
ってどういう状況ですか!?
いやいやいや!!まさかそんな!!
一人でぱくぱくしていると、工藤さんは何ごともなかったようにホテルの会場に戻っていった。
何だったんだろう…
「全くあなたは、隙だらけですね。仮にも身重の奥さまのいらっしゃる方に、のこのこ付いていくもんじゃありません」
「す、すみません。ありがとうございました………って、えっ!?身重の奥さま!?やっぱり奥さまが、いやお子様まで!?」
またぱくぱくする。
どこまでも詳しい。
「おや、ご存知ない。お身内のことでしょう」
ふん、とまた、鼻で嘲けられてしまった。
いちいちなんなんだろうこの人は。