「―――ということで、よろしいですか??」
「あっ、はい。よろしくお願いします!!」
急ブレーキの原因は、線路内の立ち往生した車のようだった。
電話で遅れる旨を伝え、2時間後、隣の駅で降りることができ、なんとか迷惑を掛けない程度に飛び込んで仕事は事なきを得た。
けれど結局、販促に出向いた書店での説明も何も頭に入らない。耳に届かないまま、その日は終わってしまった。
何なんだろうあの人は。
人をからかって何が楽しいのか。
本気にしてはダメだ。
気にしてはダメだ。
宣伝資料と案をまとめて、課長に提出しなくては。
仕事仕事。
手帳に目をやると、明後日、週明けはKISARAGI書店の創業50周年の祝賀パーティーになっている。
ま、関係ないか。