いやまさか。
気のせいだ。


その何かは、太ももからじわじわと這わせるように上がってきた。


こんな足を触って何の特がある。
痴漢なんかでは、あるはずがない。
きっと鞄か何かだ。


勘違いすると、かかなくていい恥をかく。


―――けれど。


明らかに人の手で、故意に触っていると分かったとき。


その手は私から離れた。