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目の前にあるトースト、サラダ、スクランブルエッグはどれも美味しそうなのに、今日は二重の意味で食欲が湧かない。
「大丈夫か?」
古賀くんはこの日も朝食に手をつけようとしない、私の様子を窺ってきた。
「あ、うん……」
大丈夫だと答えようとして、うっかり言葉に詰まる。堪えようのない吐き気が限界に達したのだ。
不審に思われるのを覚悟で席を立ち、トイレに駆け込む。
「うっ!!ゲホっ!!」
床に跪いて何度も咳き込むと、ようやく吐き気が収まってくる。
「さくら」
背後にいたのは鋭い目つきをした古賀くんだった。
「お前……妊娠してるんじゃないのか?」
専務になるだけあって遠回りせずに核心をついてくるその手腕はお手の物だった。