「…そしたらきっと、やり直してたかもしれない。」


私の言葉に孝也は寂しそうに笑った。


「…そうか…。」

あれ?
日下部くんと付き合いたいから孝也とは絶縁したいって言いに来たのに、なんだか孝也のペースに飲まれて名残惜しんでる感じになっちゃってる?


チラリと日下部くんを盗み見ると、孝也をジッと見ていた。


すると、彼の口が動いた。


「…俺、帰ります。」


「えっ」


驚いて彼の腕を握る。

「今日ここに来たのは、留衣さんに俺の本気を伝えたかったのと、孝也さんにこれ以上はっきりしない関係を続けるのを止めさせるためです。
今すぐ留衣さんを俺のものに、とかじゃなくて安心して一緒になってもらう為の準備です。
孝也さんと留衣さんが話し合って、別れを選んだら俺と付き合ってくださいね。」


えっえっ、と言ってる間に彼は帰ってしまった。