静かに聞いている彼の前で汗だくの手をギュッと握り締める。


それと、他の男と付き合いたいなら会わせろと言ってきていることも。


しばらくの沈黙のあと、彼が口を開いた。


「なんだ、全然秘密なんてもんじゃないじゃないですか。」


驚いて顔を上げると、ニッコリ笑う日下部君に呆然とした。


「そんなの別に仕方ないっていうか…、すぐ別れる事も難しいですよね。
簡単に嫌いになれないし。
元カレが真島さんの事手放したくない気持ちも、もちろん分かるし。

何より真島さんが別れたいって思ってるなら、俺は何も怖くないですね!」


明るく言い放つ彼に、ホッとしたのと同時に泣けてきた。


「もう、私の不安返してよ!
損した気分……」


「そんな事で嫌いになんないですよ!
信用ないなぁ。」


安心したら腹減った!と注文する彼に、久しぶりに私も自分の罪悪感から逃れられた気がした。


「…ありがとう。」