「じゃ、
俺はまたナンパでもしてきますかね」




あたしに背を向けて、去っていこうとする志磨。



ここで



黙ってて、いいのか、あたし。



何も言わなくていいって言われても



言わなきゃダメでしょ、あたし!!



志磨のパーカーの裾をぎゅっと握ると、



志磨が振り返ってくれた。




「なんだよ」




突き放すような声に、胸が苦しくなる。



あれが本気の告白なら、ナンパするなんて言わないでしょ。



冗談なんだよ…冗談…。



……だけど。それでも。




「あたし、



志磨が好きだ!」




志磨があたしをからかってるだけだとしても



あたしが志磨を好きなのは、冗談なんかじゃないもん。



いつまでも、逃げてちゃダメ。



あの日、志磨を好きじゃないと言った日から、ずっと忘れられなかったあの言葉。



後悔してたから、忘れられなかった。



だからどうしても、本当の、素直な気持ちを伝えたかった。



それを



今伝えなきゃいけないと思ったんだ。



恥ずかしいとか、そんなこと思ってたら



いつまで経っても伝わらないから。