志磨ははぁーっと息を吐くと、
ハハッと乾いた笑いをもらす。
「コクる前から、フラれてんのに。
忘れられないでいる俺が悪いんだけど」
唇にあった手が、今度はあたしの頬を優しくなぞった。
「ぴよが好きだ」
その言葉は、
なんだか自然すぎて、そのまま聞き流してしまうところだった。
「えっ、志磨…、今の…」
「どうせ俺はフラれてる身だし、
伝えないつもりだったけど、
隠しててもモヤモヤして気持ちわりぃし、
言った方がスッキリすると思った。
だから別に、
ぴよの返事はわかってるから、
何も言わなくていいし」
「えっ、えっ」
その言葉が、本気なのか信じられなくて
なんて言えばいいのか、全然わからない。
『あたしも好き』?
冗談だよって言われたら、かなり恥ずかしい。
ど、どうすれば…。