朝学校へ着いて間もなく僕はマーティーに腕を引っ張られた。「やあ、おはようマーティー。君はおもしろい挨拶をするね」弱虫なくせに朝の低血圧は未だに治らない。このままでは僕はいつか痛い目に遭うだろう。そんなことすら気にしないようにマーティーは向こうを指さした。「見つけたぞ!あの子はいける!」その先には見たこともない女の子。「知らない子をパーティーに誘えってか?!」笑いながらうなずくマーティーに無理だと伝えても彼は意思を曲げない。「僕のことより自分はどうなんだ!」そう言いはなつと一枚の紙を見せてきた。「誘ったらぜひ行きたいだってさ!しかもよく見ろ!♥マークだってある!」興奮している彼はどうしようもなかった。「あぁ、あの子は転入生なんだ。今日誘うわけじゃない。様子を見るんだ!」見た目は何点だと男くさい会話をしてくるマーティーに僕は正直に伝えた。僕が選びそうな女の子ってとこでは10点かもね。「5点ってとこか」マーティーがぼそっと呟いたのはなしにしよう。たしかにあの子は可愛かった。特別というわけではないがそれなりに。静かそうでまるで僕が女の子になったかのような。なんて、失礼なこと口が裂けても言わないけどね。マーティーは優しいし、友達思いだけどたまに正直すぎる。特に女の子のことに関しては…。でも僕はそんな正直なところも好きだ。いや、しかしだ、今日は別。なぜか彼女が気になった。それは似ているからなのか、もっと別の感情なのか今はわからない。
 ランチの時間にオーウェンたちと席が近くなり一緒に食べた。「マーティーパーティーには誘えたの?」いつもの笑顔で彼女は聞く。「それが聞いてくれよ!♥マークがついてたんだ」本日二度目のマーティーのにやけを僕は拝むことになった。オーウェンも呆れたように僕に聞いてきた。「ジェフはマーティーに誰かいい人見つけてもらうんだろ?」多少の恥ずかしさを隠しながら僕はうなずいた。「その子とうまくいったりして」
 ここが本当の居場所かなんてわからない。一人になるといつも思う。もしかしたらルーカスとつるんでたかも。もしかしたらもっと静かだったかも。そんなことばかり考えてしまう。それは今が幸せだと受けとるべきか逃げ道を作るくせが直っていないと受けとるべきかと自問自答をしていた。自分について考えすぎて今夜はぐっすり眠れそうにない。