「やあ、オーウェン!」マーティーは彼と仲が良いらしく気さくに話しかけている。「オーウェン聞いて。彼が私が話した人よ」ケイシーはオーウェンに僕を紹介してくれた。「あぁ、君がジェフ?」こんな人気者3人に囲まれた僕はまるで透明人間のようだ。もしかすると逆に目立っているのかも。そんなことを考えながらな僕はオーウェンの質問に応えた。
 きっとこの瞬間ルーカスにからかわられていることを忘れていただろう。この2人は僕がからかわられていること自体知らないだろう。でも断言できると思う。2人もマーティーのようにそんなこと気にしないでいてくれるだろうと。高校に入って今はまさに自分を表現できる場であった。それからはオーウェンも彼女も学校で会うたび話しかけてくれた。そのことへの感謝は大人になってもなくならない。
 夏休みに入り僕はマーティーの家に行くことが増えた。「なあ、ジェフ!もうすぐ学校でパーティーがあるだろ?誰かと行くのか?」唐突にマーティーから発せられた言葉は僕にとってとても新鮮な言葉だった。「行く相手がいないよ」「誘えばいいだろ?」マーティーはそう言うが彼は本当にわかっているのだろうか。僕の誘いを受ける可哀想な女の子が何処いるかと。「いるなら連れてこい」そう言ってやると彼は大声で笑った。ムカつきはしたが相手がいないのはわかりきってる。「もし、マーティーが連れてきてくれたら1ドルやるよ」そのとき彼の目は変わった。「本当だな?俺は連れてこれる。というか、誘える相手を探せる」彼の自信満々の言い方にどうしても納得いかなかった。「加工した写真なんか見せたら許さないぞ」そう言ったあとに彼がまた大笑いするのは言うまでもない。