「遠藤剛、ただいま参上で~す!」
おー!
遠藤さんがまるで戦隊もののヒーローのようなキメポーズで現れました。
どこからこんなエネルギー出るんでしょうね。
感心しちゃいます。
「お疲れ~」
「お疲れサマです」
「おっせよー」
方々から遠藤への挨拶が飛びます。
もちろん、私も言いましたよ。
「どこ座ろう」
遠藤さん、右手を腰に、左手を眉のところに当てて遠くを見る仕草をしてます。
「どぞ」
「え~。オレ、その席、こき使われるから、や~だ~」
桃川さんが自分の隣をすすめたんですけど、遠藤さんは駄々をこねてます。
確かに通路に近いと、注文を頼んだり皿を回したり動くことは多いと思うのですがね。
子どもじゃないんですから……。
「今日はーおカネ~出すからー、ゆっくり~して、たい!ど~ぇすっ!」
遠藤はラップ口調(だと思います。でもリズムが崩れてるので、多分としか言いようがありません)でリズミカルに動きながら言うと、石田さんと桃川さんの間に飛び込むように座りました。
「ちょっ、お前な~」
石田さんも困ったような態度をするだけです。
あの石田さんですよ。
私がおんなじことでもしようものならきっと空手チョップじゃすみませんよ。
首絞めの刑が待っていますね、きっと!
遠藤さんにはさすがの石田さんも対応に困るんでしょうね、きっと。
石田さんでもそんな相手がいたのですね。フフフ。
「遠藤さんってさ、ぶっ飛んでるよな」
藤木くんが私に耳打ちするようにこっそりとつぶやいたので、もちろん私はうなずきました。
「ハ~イ!ハイハイハイ」
遠藤さんは右耳のところで手を叩く。
その様はまるでフラメンコで手を叩くかのようです。
「そこそこ~!ちゃんと~、聞こえ、てるぞー」
遠藤さん、私と藤木くんを指を差して、相変わらず音の外れてるラップ口調で言いました。
飲み/スタート 終