ななっ!
私を押してきましたよ。
まったく!
もうっ!仕方ないですね!
「言いますよ、言えばいいんでしょ!」
「おう、言ってみぃ」
ニヤニヤ見てます。
よしっ。どうせ同じ言うんなら。
「ご、“ご主人サマ~。お帰りなさいませぇ”」
自分でもよく言えたと思います!
メイドさんっぽく言えました!
「ヨッパ、マジサイコー」
ぐへえ!
石田さん、私の頭をぐちゃぐちゃにしてきます。
「もうーっっ」
石田さんの手を取りました。
「もうこんなことはさせませんっ」
「あ、そんなことしていいと思ってんの~」
そう言うと、石田さん、軽く蹴ってきました。
「ひどい!」
蹴り返して差し上げます。
「イッテ!お前なー手加減しろよ」
石田さんは私に動きを封じられている両手をブンブンと振り回します。
あ、机の上に置いている私のスマホが震え始めました。
今バイブにしてるので。
ぐほっ!
一瞬ひるんだ隙に、石田さんが私のスマホを取ってしまいました!
「返してくださいっ」
奪い返そうとするんですが、石田さんはそうはさせないといわんばかりに動きながら器用にメールかなにかを見ようとしてます。
「ちょっと!ダメですっ、見ちゃ。個人情報ですよ!」
「あ!」
「へ?」
「オトコからじゃねぇの?」
ニヤリとして私を見てきます。
「えぇ?」
桃川さんでしょうか!?
それくらいしかレンラク取り合ってる殿方はいないんですけど。
でも、それならわざわざそんなこと言いませんよね。
どなたなんでしょうか。アセアセ。
「ほらよ」
スマホ、返してくれました。ホッ。
誰からなんでしょうか!
急いで確認します。