ん?なんでしょう?
石田さんが私を見ました。
「ヨッパは?」
「ヨッパ?」
「酔っ払いのヨッパ」
「むむっ。だから今日は酔ってないですって」
「いいじゃん、ヨッパ。ヨッパヨッパヨッパ」
むむー。
でもいいです、石田さんとこういう押し問答しても言い負かされそうです。
素直にききましょう。
「はい、なんですか?」
「なんか決まってんの?」
「へ、バイトのことですか?」
「うん。あ!」
手を叩いて指をさしてきます。
石田さん、指はさしちゃダメなんですよ。
「ヨッパさー。いいところ紹介してあげよっか?」
「え?なんのバイトですか?」
「メイドカフェ」
石田さん、自分で言って吹き出してます。
というか!
「なんで、私がメイドカフェなんですかぁ!」
「ヨッパいそうだもん」
むむむ!
石田さん、イジワルそうにクックックと笑ってます。
「いませんー」
「ヨッパ、ぜってぇ似合うって。……ほら言ってみぃ」
「なにをですか!」
「“ご主人さま~。お帰りなさいませぇ”って」
石田さん、声色をかえてメイドっぽさを演出してます。
ナイショですが、正直ちょっと気持ち悪かったです。
「な~んで私が言わなきゃいけないんですか!」
「いいからー。言えよ~」
ぶぅ。
なんで言わなきゃいけないんですかね。
「言えよー」