『もう帰った?』

「はい、もうすぐ家に着きます。……桃川さんは?」

『オレも最寄駅から自分ちに向かって歩いてるとこ~』

「桃川さんちってどこなんですか?」

『オレ?知りたい?』

「あ、いいです」

『うわ、つれないなぁ。ハハ』

「フフ」

桃川さん、今まで思わなかったんですけど。
電話越しにきいて思ったんですけど、ステキな心地のよい声の持ち主です。

『亀戸だよ。知ってる?亀戸』

「あ!はい。知ってますヨ。下町ってイメージあります」

『そうだね、下町になるかな。……ちゃんと帰れてるんなら、よかった』

「すみません、ご迷惑おかけして」

『もっと酔ってもらって襲ってやろうと思ったんだけどね~』

な、な、な、なんですと!

私は幻聴をきいてるのでしょうか!
なんという発言をするのでしょうか!

「……は、はは」

んま!

私の反応をきいた桃川さん、ケタケタと笑ってますよ。
また冗談ですか!?

『真央ちゃんってホントだましやすいね』

んまぁ!!
やっぱり冗談なんですね!

ひどいおヒトだ!

「冗談でもそんなこと言っちゃダメですよっ」

『そだね~。あ、着いた。じゃあ切るね』

「はい!」

『家に入ったらまたlineしてね。危なっかしいからっ』

「ぶー。そんな大丈夫ですけどぉ。わっかりましたー、lineしますぅ」

『じゃね』

あ、電話切れちゃいました。

帰るまでの退屈しのぎだったんでしょうか……。