あ……。
桃川さんが手を放しました。
放さなきゃいけないし、最初は私から放そうとしたクセに。
いざ放されてしまうとすごーく切ないです。
なんなんでしょうかね、この矛盾は。
「そんなカオしないの~」
「へ!?どんなカオしてるんですか!?」
そう訊くと、桃川さんはニヤニヤしてます。
「えーさみしそうなカオ?」
むっ!
なんということを!
「そ、そんなカオしてませんっ!」
「えーしてたよ~。オレと放れたくないなぁってカオ」
「むぅぅ!どんだけうぬぼれてるんですか!」
「アハハ。そだね、うぬぼれ。っていうか、願望?」
「願望?」
「そ。真由ちゃんがオレと放れたくないなぁって思ってくれてるといいなっていう願望」
「まっ!そ、そんなこと思いませんっ!」
「えーそなの~?そのワリにカオ真っ赤だけど?」
ケラケラ笑ってます!
ムッカーです!
からかわれてるんですね、私!
「ひどい!!」
プンプンです、プンプン。
「もう帰ります!」
「待ってよ」
はぅ!?
桃川さん、また私の手を取りました。
しかもとっさにお顔を拝見すると、真剣なカオをされてます。
動揺しちゃいます。